始業前、更衣室で制服に着替える10分。事業所に集まってから現場へ向かう車の中。1軒目の訪問先から2軒目へ移る15分。
「この時間にも給料は要るのか」。制服のある職場や、外回り・訪問・出張の多い会社では、日々の仕事の中で判断に迷うことがあります。
私たちは社会保険労務士法人として、中小企業の給与計算や労働時間の管理をお受けしています。着替えや移動が労働時間に当たるかどうかは、最高裁判決・裁判例・厚生労働省の通達に判断の基準が示されています。
会社の都合で、着替えや移動の時間を労働時間から外す裏技はありません。労働時間から外せるのは、そもそも会社の指揮命令下にない時間だけです。
判決や通達の原文をたどると、払わなくてよい時間を見分ける手がかりが得られます。払っていなかった場合に、何から見直すかも見えてきます。
結論:就業規則で外せる裏技はない
「着替えの時間は労働時間に含めない」「移動時間には賃金を払わない」。就業規則や雇用契約にそう書いても、それだけで労働時間から外れるわけではありません。
労働時間かどうかは、会社の指揮命令下に置かれているかどうかで、客観的に決まるからです。
労働時間から外せるのは、そもそも指揮命令下にない時間です。たとえば、次のような場合です。
- 自宅で着替えて出勤してよく、事業所で着替える義務がない
- 直行直帰や出張の往復で、移動そのものが業務ではなく、移動中に業務も求めていない
制服や交通手段を会社が指定しているだけで、直ちに労働時間になるわけではありません。事業所内での着替えが義務付けられているか、移動自体が業務として命じられているか、移動中に運転・物品管理などの業務を求められているかといった実態から判断します。
会社が工夫できるのは、「労働時間に当たらない形をつくること」までです。すでに労働時間に当たる時間を、規則の書き方だけで無給にはできません。
労働時間に当たれば、その時間も含めて、最低賃金・法定労働時間・割増賃金を満たしているかを確かめる必要があります。その時間の賃金がすでに月給などに含まれているかは労働契約や給与規程で確かめ、労働時間に当たらない時間でも移動手当などを約束していれば、約束どおりに払います。
最高裁の基準は「指揮命令下に置かれているか」
労働基準法には、着替えや移動の時間を労働時間に「含める」「含めない」と定めた条文はありません。労働基準法32条も労働時間の上限を定めているだけで、何が労働時間に当たるかは定義していません。
その基準を示したのが、三菱重工業長崎造船所事件(最高裁判所第一小法廷 平成12年3月9日判決、平成7年(オ)第2029号、民集54巻3号801頁)です。判決は、労働基準法上の労働時間について述べています。
> 労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない
着替えのような準備行為についても、続けて述べています。
> 労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当する
判断のポイントは3つあります。
- 事業所内で行うことを義務付けられ、または余儀なくされているか
- 「始業前に済ませること」と決めていても、それだけでは労働時間から外れない
- 労働時間になるのは、社会通念上必要と認められる時間に限られる
厚労省ガイドラインも同じ考え方
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)も、同じ考え方を示しています。
> 労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。
同じガイドラインは、指揮命令下にあるかどうかを「労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断される」としています。
「黙示の指示」には、はっきり言葉にしていない指示も含まれます。口頭で命じていなくても、そうせざるを得ない運用なら、指示があったと見られる余地があります。

着替えの時間は「事業所で着替える義務」で分かれる
判決の事案:更衣所での着替えが義務付けられていた
三菱重工業長崎造船所事件では、従業員に作業服のほか保護具などの着用が義務付けられていました。着替えは、所定の更衣所などで行うものとされていました。
着替えを怠ると、懲戒処分や就業の拒否を受けたり、成績の評価に反映されたりすることがありました。
最高裁は、このような着替えを指揮命令下に置かれたものと評価しました。実作業が終わった後も、更衣所などで作業服や保護具を脱ぎ終えるまでは、指揮命令下に置かれているとしています。
更衣所から準備体操場までの移動も同じ扱いです。
自宅から制服で来てよいなら
制服での通勤が実際に可能で、事業所で着替えるかどうかを本人が自由に選び、会社が着替えの場所や時間を拘束していない場合には、任意の着替えは労働時間に当たらないと考えられます。
これは最高裁判決が直接判断したケースではなく、指揮命令下にあるかという基準による当てはめです。「自宅で着替えてよい」と規則に書くだけでは足りず、衛生・安全上の制約や実際の運用も確認します。
「事業所で着替えるしかない」状態も義務と同じに見られる
規則に「会社で着替えること」と書いていなくても、事実上そうするしかない職場があります。
- 制服や作業着の持ち帰りを認めていない
- 衛生や安全の理由で、事業所の外では着用させない
- 保護具を事業所に置いておく決まりになっている
こうした運用が判決の言う「余儀なくされた」に当たれば、指揮命令下と評価されやすいと考えられます。
移動の時間は「移動自体が業務か」「指揮命令下にあるか」で分かれる
「自由」とは、車中で読書や睡眠ができるという意味だけではありません。業務として必要な場所への移動を命じられている場合は、移動中に別の作業をしていなくても、労働時間に当たり得ます。
通常の通勤に相当する直行直帰や出張の往復と、業務を開始した後の現場間・訪問先間の移動を分けて確認してください。経路や出発時刻を本人に任せるだけで、業務上の移動が労働時間でなくなるわけではありません。
出張の移動は、原則として通勤と同じ性質
出張の往復にかかる時間について、日本工業検査事件(横浜地方裁判所川崎支部 昭和49年1月26日決定、昭和48年(ヨ)第142号等)は次のように述べています。
> 出張の際の往復に要する時間は、労働者が日常の出勤に費やす時間と同一性質であると考えられるから、右所要時間は労働時間に算入されず、したがつてまた時間外労働の問題は起り得ないと解するのが相当である
この事案では、検査作業のために鹿児島の現場へ飛行機で出張した社員について、時間外労働を計算しました。その際、往復の移動時間は労働時間に含めませんでした。
移動中の業務については、上の引用は触れていません。最高裁判決(平成12年3月9日)の枠組みからすると、移動中に会社が業務を義務付けていれば、指揮命令下に置かれたと評価されやすいと考えられます。
- 機材や商品を運ばせ、移動中もその管理を任せている
- 上司や同僚を乗せて社用車を運転させている
- 車中で資料作成や顧客との電話対応を命じている
直行直帰の移動
直行直帰そのものを扱った文言は、ここで取り上げた判決・決定・通達にはありません。直行直帰については、最高裁判決と日本工業検査事件の決定をもとにした当てはめです。
日本工業検査事件は、出張の往復を「日常の出勤に費やす時間と同一性質」としています。これを踏まえると、自宅から現場へ直接向かう移動が通常の通勤に当たり、移動そのものが業務ではなく、移動中に業務や待機などの拘束もない場合には、労働時間に当たらないと考えられます。
会社の指示で資材を受け取る場合は、受取り作業と、その後の業務としての運搬・移動を労働時間として確認します。自宅から受取り場所までの区間は、通常の通勤に相当するのか、すでに業務としての移動なのかを別に判断します。
移動中の電話対応も、実際の対応時間に加え、継続的な対応義務などによって移動時間全体が拘束されていたかを確認します。途中に業務が入ったことだけで、往復の全時間が一律に労働時間になるわけではありません。
事業所に集合してからの移動
訪問介護の移動時間について、厚生労働省は「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」(平成16年8月27日 基発第0827001号)で扱いを示しています。
> 移動時間とは、事業場、集合場所、利用者宅の相互間を移動する時間をいい、この移動時間については、使用者が、業務に従事するために必要な移動を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当するものであること。
続けて、具体例を挙げています。
> 例えば、訪問介護の業務に従事するため、事業場から利用者宅への移動に要した時間や一の利用者宅から次の利用者宅への移動時間であって、その時間が通常の移動に要する時間程度である場合には労働時間に該当するものと考えられること。
事業場から利用者宅への移動は、通達が労働時間に当たる例として挙げています。
訪問と訪問の間の移動
1件目の利用者宅から次の利用者宅への移動も、同じ通達が労働時間に当たる例として挙げています。
この通達の対象は訪問介護の事業です。ただ、判断の軸となる「必要な移動を命じているか」「自由利用が保障されているか」は、最高裁判決の考え方と共通しています。
設備の点検や外回りの営業のように、1日に何か所も回る仕事でも、判断の目安になると考えられます。
同じ通達は、直接の業務とそれ以外の業務の賃金水準について、「最低賃金額を下回らない範囲で、労使の話合いにより決定されるべきもの」としています。移動時間の時給を別に決めること自体は否定されていません。

ケース別の判断表:着替えと移動
表の「出所」の列では、判決・決定・通達が直接述べたことと、そこからの当てはめを分けています。表は判断の目安であり、最終的にはそれぞれの実態で判断されます。
着替えについて「当たる」とするのは、特段の事情がなく、社会通念上必要と認められる時間の範囲です。移動については、移動そのものが業務か、移動中に業務上の拘束があるかを確認します。
| ケース | 労働時間か | 出所 |
|---|---|---|
| 事業所内で制服・保護具を着脱することを義務付けている | 原則として当たる | 三菱重工業長崎造船所事件(平成12年3月9日)が示した基準 |
| 事業所内での着替えを義務付け、始業前に済ませるよう指示している | 原則として当たる | 同判決は、所定労働時間外とされていても該当し得ると明示 |
| 制服の持ち帰りを認めず、事業所で着替えるしかない | 当たりやすい | 同判決の「余儀なくされた」からの当てはめ |
| 制服での通勤が実際に可能で、着替えの場所・時間を本人が自由に選べる | 任意の着替えは当たらないと考えられる | 指揮命令下にあるかという基準による当てはめ |
| 出張先への往復で、移動自体が業務ではなく、移動中の業務や拘束もない | 当たらないと考えられる | 日本工業検査事件(昭和49年1月26日決定)の出張往復に関する判断と、指揮命令下の基準による当てはめ |
| 出張の移動中に、物品の管理・運転・業務連絡を命じている | 命じた業務をしている時間は当たる。移動全体が当たるかは、管理や対応の義務でどこまで拘束されていたかで判断 | 三菱重工業長崎造船所事件の枠組みからの当てはめ |
| 自宅から現場へ直行し、移動自体が業務ではなく、移動中の業務や拘束もない | 当たりにくいと考えられる | 日本工業検査事件の出張往復に関する判断と、指揮命令下の基準による当てはめ |
| 直行の途中で、会社の指示により資材を受け取りに寄る | 受取り作業と、その後の業務上の移動は当たる。自宅からの区間は別途判断 | 三菱重工業長崎造船所事件の枠組みからの当てはめ |
| 業務上、事業所への集合を命じ、その後に現場・訪問先へ移動させる | 原則として当たる | 訪問介護の通達(平成16年8月27日)の基準・例を踏まえた整理。訪問介護以外は当てはめ |
| 業務として1件目の訪問先から2件目へ、通常必要な時間で移動する | 当たる | 訪問介護では通達の具体例。訪問介護以外は同基準を参考にした当てはめ |
迷いやすいのは、「事業所に寄るかどうか」「どこで着替えるか」を本人に任せている場合です。寄らなくても仕事ができるのか、寄らないと鍵や資材、制服を受け取れないのかで、結論が変わります。
「この時間は賃金を払わない」と書いても通らない理由
最高裁は、労働時間に当たるかどうかは「労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない」と述べています。
就業規則に「着替えの時間は労働時間に含めない」「移動時間は無給とする」と書いても、実態が指揮命令下なら労働時間です。
着替えについては、判決が「所定労働時間外において行うものとされている場合であっても」と明言しています。始業時刻の前に着替えを済ませるよう決めても、事業所での着替えを義務付けている、または事業所で着替えるしかない状態にしているなら、特段の事情がない限り、社会通念上必要と認められる着替えの時間は労働時間に当たります。
労働時間に当たるなら、その時間を含めて最低賃金・法定労働時間・割増賃金を確かめる必要があります。その分がすでに月給などに含まれているかは労働契約や給与規程で確かめ、労働時間に当たらなくても移動手当などの支払いを約束していれば、それに従います。
規則の書き方で外せない以上、見直す先は日々の運用です。着替える場所や移動中の過ごし方を、会社がどこまで決めているかを確かめます。
労働時間に当たらない形を正しく設計する
着替え:自宅で着替えてよい運用にそろえる
事業所で着替える必要がない職場では、着替えの場所を本人が実際に選べる運用にできます。ただし、場所を自宅に変えるだけで労働時間から外せるわけではありません。
- 制服や作業着を自宅で着て通勤してよいと、明確に伝える
- 持ち帰りや自宅での洗濯を認める
- 更衣室は、使いたい人が使える場所にとどめる
衛生や安全の理由で、事業所で着替えてもらう必要がある職場もあります。その場合は、着替えを労働時間に含めたうえで、始業・終業時刻の決め方を見直すほうが現実的と考えます。
直行直帰・出張:移動中は本人に任せる
通勤に相当する直行直帰や出張の往復を労働時間にしないなら、移動中に業務をさせない運用にします。
- 集合場所や経路、出発時刻を、会社が細かく指定しない
- 移動中の電話・メール対応を求めない
- 資材や鍵の受け取りのために、事業所へ寄らせない
社用車で同僚を乗せて運転させたり、機材を運ばせたりするなら、その移動は労働時間として扱うと決めておきます。そうしておくほうが、後のトラブルを避けやすいと考えます。
集合後・訪問の間の移動は、労働時間として組み込む
訪問介護の通達は、事業場から利用者宅への移動や、利用者宅から次の利用者宅への移動を、労働時間の例に挙げています。ほかの業種でも、集合を命じた後の現場への移動や、仕事としての訪問先の間の移動は、指揮命令下にあるかという基準で判断します。労働時間に当たる移動は勤務時間に組み込んだうえで、訪問の組み方や時給の決め方で人件費を調整するほうが現実的です。
移動時間について、直接の業務と異なる賃金単価を設けること自体は可能です。ただし、適用される最低賃金を守り、労働契約や給与規程に適切に定める必要があります。既存の賃金を引き下げる場合は、労働者との合意や就業規則の不利益変更に関するルールも確認します。
移動時間も労働時間として通算し、時間外・休日・深夜労働に当たる場合は、法令に従って割増賃金を計算します。単価の変更を理由に、過去の未払い賃金をさかのぼって減らすことはできません。
着替えと移動を含めて記録する
前述のガイドラインは、始業・終業時刻を確認し、記録することを使用者に求めています。管理監督者など労働基準法41条に定める人と、みなし労働時間制が適用される人は対象から除かれています(事業場外労働の人は、みなし労働時間制が適用される時間に限ります)。
ただし、ガイドラインは、対象から外れる人についても健康確保を図る必要があるため、使用者に適正な労働時間管理を行う責務があるとしています。また、労働安全衛生法66条の8の3は、面接指導を実施するため、一部の例外を除く労働者の労働時間の状況を把握するよう事業者に求めています。賃金計算での扱いとは別に、時間の把握は必要です。
原則として、使用者が自ら確認するか、タイムカードやICカード、パソコンの使用時間などの客観的な記録に基づいて確認します。
労働時間に当たる着替えを済ませてから打刻する職場では、打刻の時刻と実際の始業がずれます。着替えの前に打刻する、終業後の着替えも労働時間に当たるなら着替え終わってから退勤を打刻する、移動を含めて仕事の始まりと終わりを記録するなど、実態に合う方法を選んでおくと、後から説明しやすくなります。
紙のタイムカードを見直すなら、紙のタイムカードを続けるリスクと切り替えの見極めも参考にしてください。

払っていなかったときの見直し
計算例:着替えの時間を払っていなかった場合
着替えの時間に賃金を払っていなかった場合、未払い額はどれくらいになるでしょうか。仮の数字を使った計算例です。
着替え時間に適用される通常の時給が1,500円で、その分がまったく支払われていない場合を考えます。まず、割増分を含めない通常賃金部分を計算します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時給 | 1,500円 |
| 着替えの時間 | 始業前10分+終業後10分(1日20分) |
| 勤務日数 | 月20日 |
| 着替えの時間の合計 | 20分 × 20日 = 400分(6時間40分) |
| 未払いの通常賃金部分(割増分を除く) | 1,500円 × 400分 ÷ 60分 = 10,000円 |
通常賃金部分は月10,000円です。仮に400分すべてが25%の割増率となる法定時間外労働であれば、割増分を含む未払い額は12,500円になります(1,500円 × 1.25 × 400分 ÷ 60分。この計算でも端数は出ません)。
実際には、適用される労働時間制度、休日・深夜労働の有無、月の時間外労働時間数も確かめる必要があります。
この例では計算結果に1円未満の端数は出ません。実際の給与計算では、労働時間の端数処理と賃金額の端数処理を分けて考えます。日々の労働時間を一律に切り捨てたり、給与規程に定めるだけで賃金を切り捨てたりすることはできません。端数処理を行う場合は、法令・行政解釈上認められる対象と方法を確認してください。
1人あたり月1万円でも、1年で12万円です。対象の社員が何人もいれば、金額はさらに膨らみます。
また、着替えや移動の時間も含めて、自社に適用される労働時間制度のルールで時間外労働を判定し、割増賃金を計算します。変形労働時間制などを使っていない通常の働き方なら、原則として1日・1週の法定労働時間を超えた部分が対象です。管理監督者など労働基準法41条に定める人は、扱いが異なります。着替えや移動を労働時間に含めていない会社では、残業の計算もずれている可能性があります。
見直しの進め方
賃金を払うべき時間に払っていなかったと分かったら、実態の確認から精算、今後の運用の見直しへと進めます。
- 着替える場所と、移動の形(直行直帰・出張・集合後・訪問の間)を、職種ごとに書き出す
- 上の判断表に当てはめ、労働時間に当たる時間を洗い出す
- 実際にかかっている時間を、記録や実測で確かめる
- 過去の未払い額を計算し、精算の方法を決める
- 今後の運用(着替えの場所・移動中の指示・打刻の仕方)と就業規則の記載をそろえる
残業代の請求を受けたときの初動は、退職者の残業代請求、労基署対応の初動チェックにまとめています。記録や帳簿の備え方は、労基署の調査が入る前に、中小企業が揃えておくべき書類も参考にしてください。
着替えや移動を含めた結果、法定時間外労働や法定休日労働をさせることになるなら、原則として事前に36協定を結んで届け出る必要があります。実際の労働時間や休日労働が、協定で決めた範囲と法律の上限に収まっているかも確かめる必要があります。これからの協定を見直しても、過去の時間外労働の違反が消えるわけではありません。書き方は36協定の特別条項の書き方|記載例と上限規制をやさしく解説で解説しています。
点検用チェックリスト
自社の運用を点検するときは、着替えや移動の指示と、時間の記録を照らし合わせてください。
- 制服・作業着を自宅で着て通勤してよいと伝えているか
- 制服や保護具の持ち帰りを禁止していないか
- 着替えを済ませてから打刻させていないか
- 直行直帰の途中で、事業所や倉庫に寄らせていないか
- 出張の移動中に、運転・機材の管理・業務連絡を頼んでいないか
- 集合してからの移動や、訪問と訪問の間の移動を、労働時間に含めているか
- 就業規則の記載と、実際の運用が食い違っていないか
