週2日から週4日へ。次の有給は何日?
従業員10〜30人くらいの会社では、社長や事務担当の方がひとりでパートさんの勤怠と有給を管理していることがあります。そんな会社で迷いやすいのが、次の場面です。
「週2日だったパートさんが、1月から週4日で入ってくれることになった。次の10月に付ける有給は、週2日と週4日のどっちで数えるの?」
1年のうち9か月は週2日、3か月は週4日。変更前の期間のほうが長いと、週2日で数えたくなります。逆に、週5日だった人が年度の途中で週3日に減ったときも、同じ迷いが出ます。
ここで扱うのは、週の出勤日数(所定労働日数)が途中で変わったときの付与日数です。
比例付与の表の読み方はシフト制パートの有給は何日?2026年6月改正の実績ベース計算に書きました。パートにも有給があること自体については、【有給とは?】パート・アルバイトももらえる?で説明しています。

結論:次の有給は、基準日に予定されている日数(変更後)で数える
有給の付与日数は、付与する日(基準日)に予定されている所定労働日数で決まります。 年度の途中で週の日数が変わったなら、次の基準日の付与は変更後の日数で数えます。変更前の期間が何か月あったかは関係ありません。
「基準日」とは何か
基準日は、労働基準法39条7項で「継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(中略)の初日」と定められています。簡単に言えば、入社6か月後の日と、そこから1年ごとの日です。
4月1日入社なら、最初の基準日は10月1日。その後は毎年10月1日です。
「所定労働日数」は基準日時点のもの
厚生労働省の「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」(令和4年1月7日、令和8年6月19日改正)にも、比例付与の説明があります。参照する所定労働日数は「基準日(継続勤務6か月経過日から1年ごとの各期間の初日)に予定されている1週間の所定労働日数」です。
よくある失敗3つ
失敗1:日数が増えた月に、有給をその場で足してしまう
週2日から週4日に増えたタイミングで、差に当たる日数の有給を追加する。本人にとってはうれしい対応ですが、法律上の義務ではありません。
会社の判断で上乗せするのは自由です。ただ、人によって足したり足さなかったりすると、「あの人だけ」と不公平に感じる人が出てきます。
失敗2:次の基準日に、変更前の日数のまま付与してしまう
見落としやすいのが、登録の直し忘れです。週4日に変わったのに、勤怠システムや管理表は「週2日」のまま。次の基準日を迎え、自動で週2日の日数が付いてしまいます。
失敗3:週の日数だけ見て、時間を見落とす
「週4日だから比例付与」と判断してしまうケースもあります。週4日でも、1日8時間なら週32時間。後で触れるとおり、この人は比例付与の対象から外れます。
判断軸1:いつ変わったかで、効いてくる基準日が決まる
次の例はすべて架空のもので、出勤率は8割以上とします。
【例1】Aさん:4月1日入社、週2日・1日5時間(週10時間)。翌年1月から週4日・1日5時間(週20時間)に変更。
| 基準日 | 基準日時点の所定 | 付与日数 |
|---|---|---|
| 10月1日(6か月) | 週2日 | 3日 |
| 翌年10月1日(1年6か月) | 週4日 | 8日 |
翌年10月1日の基準日に予定されているのは週4日なので、施行規則24条の3の表の「週4日・1年6か月」の欄にある8日を付与します。週2日だった9か月を理由に、週2日の欄(4日)を使うことはしません。
初回の基準日より前に変わったら
【例2】Bさん:4月1日入社、週2日。7月から週4日・1日5時間に変更。
最初の基準日(10月1日)に予定されている所定労働日数は週4日なので、週4日・6か月の欄に当たる7日を付与します。4〜6月が週2日だったことは、表のどの行を使うかには影響しません。
入社時の契約書だけを見て、週2日に当たる3日を付けると、4日足りなくなります。
週5日から週3日に減ったら
【例3】Cさん:勤続2年6か月の基準日に週5日・1日6時間で、通常の労働者と同じ12日を付与。2か月後に週3日・1日6時間(週18時間)に変更。
| 基準日 | 基準日時点の所定 | 付与日数 |
|---|---|---|
| 勤続2年6か月 | 週5日 | 12日 |
| 勤続3年6か月 | 週3日 | 8日 |
勤続3年6か月の基準日に予定されているのは週3日なので、週3日の欄の8日を付与します。週5日だった2か月があっても、通常付与の14日にはなりません。

判断軸2:比例付与と通常付与の境目は「30時間」と「週5日」
日数の変更に伴い、比例付与から通常付与へ、あるいは通常付与から比例付与へ切り替わることがあります。その境目は、労基法39条3項と施行規則24条の3で決まっています。
比例付与になるのは、週の所定労働時間が30時間未満で、かつ次のどちらかに当たる人です。
- 週の所定労働日数が4日以下
- 週以外の期間で日数を決めている場合は、年間の所定労働日数が216日以下
週30時間以上なら、日数が少なくても通常付与です。また、週5日以上(年217日以上)なら、時間にかかわらず通常付与になります。
境目を数字で確かめる
| 働き方 | 週の時間 | 区分 | 6か月時点の付与日数 |
|---|---|---|---|
| 週4日・1日7時間 | 28時間 | 比例付与 | 7日 |
| 週4日・1日8時間 | 32時間 | 通常付与 | 10日 |
| 週5日・1日4時間 | 20時間 | 通常付与 | 10日 |
日数が同じでも、時間の延長で区分が変わる場合があります。週4日のまま1日7時間から8時間に延びた人は、次の基準日から通常付与です。
通常付与の日数
通常付与は、6か月で10日(39条1項)。そこから1年ごとに加算され、1年6か月で11日、2年6か月で12日、3年6か月で14日、4年6か月で16日、5年6か月で18日、6年6か月以上で20日です(39条2項)。
比例付与の日数は、施行規則24条の3の表で決まります。週4日(年169〜216日)なら6か月で7日、1年6か月で8日、3年6か月で10日。週3日(年121〜168日)なら6か月で5日、3年6か月で8日です。表の全体はシフト制パートの記事に載せています。
判断軸3:出勤率8割と、年5日の取得義務
出勤率は8割以上が条件
有給の付与には、初回なら入社から6か月、2回目以降なら直前の1年について、全労働日の8割以上出勤している必要があります(39条1項・2項)。
業務上のけがや病気で休業した期間、産前産後の休業、育児休業・介護休業の期間は、出勤したものとみなします(39条10項)。
年5日の取得義務は「その基準日に付与した日数」で決まる
年5日の取得義務がかかるのは、その基準日に法律上付与する日数が10日以上の人です(39条7項)。基準日から1年以内に、5日は時季を決めて取らせる必要があります。
例3のCさんの場合、義務の有無は次のように変わります。
- 勤続2年6か月の基準日に12日付与 → 週3日に減った後も、その1年は年5日の義務あり
- 勤続3年6か月の基準日に8日付与 → この1年は義務の対象外
一方、週3日で5日付与した人が年度の途中で週5日になっても、その年度は対象外です。次の基準日に10日以上付与した時点から対象に入ります。
本人が自分で取った日や、計画的付与で取った日は、5日から差し引けます(39条8項)。取得義務の進め方は有給5日取得義務を守れていない会社への処方箋にまとめています。

日数を変える前に、会社が確かめておくこと
所定労働日数を変える話が出たら、次の3つを確認しておきます。
- 変更日と、次の基準日の日付。 有給にいつから反映するか、本人にも伝えられるようにする
- 変更後の週の時間。 30時間をまたぐか、週5日になるかを確かめる
- 勤怠システム・管理表の登録。 変更日に合わせて所定日数と時間を書き換えたかを確認する
所定労働日数の変更は、労働条件の変更です。シフト制の留意事項も、使用者の都合で一方的に所定労働日数を増減させることは認められないとしています。
契約書か労働条件通知書を作り直し、本人と合意した日付を残しておけば、基準日時点の条件を確認できます。
本人には、変更の話をするときに「今の有給はそのまま。次の○月○日から、新しい日数で○日になります」と伝えます。今ある有給と次に付く有給を具体的に説明しておくと、認識の食い違いを防ぎやすくなります。
まとめ
- 付与日数は、基準日に予定されている所定労働日数で決まる
- 年度の途中で変わったら、次の基準日の付与は変更後の日数で数える。初回の基準日より前に変われば、初回から変更後の日数で付与
- 週30時間以上、または週5日以上(年217日以上)になれば通常付与へ切り替わる
- 年5日の取得義務は、その基準日に付与した日数が10日以上かどうかで決まる
根拠として確認した一次情報です。
- 労働基準法39条1項・2項・3項・7項・8項・10項(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 )
- 労働基準法施行規則24条の3(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023 )
- 厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」(令和4年1月7日、改正 令和8年6月19日) https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001713615.pdf
