千葉県で従業員を雇っている、10〜50人規模の会社の社長・人事担当者へ
千葉県内で店舗や工場、事業所を構えていて、従業員が10〜50人くらい。
パートさん・アルバイトさんも何人か雇っている。人事担当は社長ひとり、または総務との兼任。
そんな会社に向けて、この記事を書いています。
2026年8月5日に千葉地方最低賃金審議会が「1,195円」への引き上げを答申し、千葉労働局長がこれを決定・公示しました。前年度の1,140円から55円増、率にして4.82%の上昇で、2026年10月1日から発効しています。
「うちのパートさんの時給、いま何円だっけ」と一瞬考えた方は、最後まで読んでいただきたいです。

結論:10月1日以降に働いた分から1,195円。賃金表を洗い直す
先に結論を言います。
千葉県の最低賃金は、2026年10月1日から1,195円になっています。金額も発効日も、すでに決定・公示されて確定しています(千葉労働局)。
適用の基準は給与の支給日ではなく、働いた日です。10月1日以降に働いた分から1,195円で計算します。締め日が月末で翌月払いの会社も、10月1日以降の労働分には新しい額が適用されます。
給与計算期間が発効日をまたぐ場合は、9月30日までと10月1日からを分けて確認してください。
10月1日以降の労働分には、すでに新しい額が適用されています。賃金表の見直しが済んでいなければ、すぐに洗い直してください。
千葉県の最低賃金、どう決まったのか
ここで手続きの流れを整理しておきます。
最低賃金は、①中央最低賃金審議会が全国の目安額を示す、②各都道府県の地方最低賃金審議会が地域の実情に応じて答申する、③労働局長がその答申(意見)の要旨を公示する、④公示の日から15日以内に労使が異議を申し出る機会を経る、⑤労働局長が最低賃金を決定し、その決定した事項を公示する、という流れで決まります(最低賃金法10条・11条・14条)。
千葉県は今回、中央の目安「54円」に対し、独自に1円上乗せした「55円」を答申しました。労働者側・使用者側・公益側の全委員が一致しての答申だったと報じられています。
ここで順番を間違えやすいのですが、異議申出は「決定のあと」ではなく「決定の前」に置かれています。答申の要旨が公示され、その公示の日から15日間の異議申出の期間を経てから、労働局長が正式に決定します(最低賃金法11条)。そして、決定した事項が公示され(最低賃金法14条1項)、その公示の日から起算して30日を経過した日から効力が生じます(最低賃金法14条2項)。決定で別の日を定めることもできますが、それは公示の日から30日を経過した日より後の日に限られます。30日より前に前倒しすることはできません。
今年はこの手続きがすべて終わり、2026年10月1日に発効しています。残っているのは会社側の対応だけです。
この場面でよくある失敗
最低賃金が上がるときに、給与計算で起きやすい失敗を挙げます。
- 正社員の月給を時間額に直すとき、所定労働時間を間違える:月給を割る時間数に、よそで見た174時間・173.8時間・164時間をそのまま使うのは誤りです。自社の1年間の所定労働時間を合計し、12で割って月平均所定労働時間を出します(1日の所定労働時間が毎日同じなら、年間の所定労働日数×1日の所定労働時間÷12)。その時間数で月給を割り、1,195円と比べます。
- 給与の支給月で切り替えてしまう:基準は支給日ではなく労働日です。「10月払いの給与から」と設定すると、9月分の労働に新額を当ててしまったり、10月1日以降の労働分が旧額のまま残ったりします
- 通勤手当や家族手当を合算して、最低賃金と比較してしまう:最低賃金の比較に使う賃金には、通勤手当・家族手当・臨時に支払われる賃金などを含めません。合算すると実質下回っていても気づきにくくなります
- 千葉県外の事業所で働く従業員に千葉県の額を適用してしまう:適用される地域別最低賃金は、原則としてその人が所属する事業場の所在地で決まります。他県の事業場に所属している人と、千葉県内の事業場に所属したまま他県へ出張している人は、分けて考えてください。他県でテレワークをしている場合も、基準になるのは所属事業場の所在地です。例外は派遣社員で、こちらは派遣先の事業場の最低賃金が適用されます(最低賃金法第13条)
どれも「知らなかった」では済まされない部分ですが、忙しい時期ほど後回しにされがちなんですよね。

見落としやすい「特定最低賃金」――業種によっては1,195円では足りない
もう一つ、忘れられがちなのが「特定最低賃金」の存在です。
最低賃金には、県内のほぼ全業種に効く「地域別最低賃金」(千葉県は今回1,195円へ)とは別に、特定の産業だけに設定される「特定最低賃金」があります。千葉県では鉄鋼業に特定最低賃金があり、2025年度時点で1,210円。地域別の1,195円より15円高い水準です。
地域別と特定の両方が適用される従業員には、高い方の額以上を支払う必要があります。つまり、鉄鋼業のように対象業種に当たる会社では、1,195円を満たしていても特定最低賃金を下回っていれば違反になります。全従業員を一律に1,195円と比べるだけでは、この差を見落とします。
自社の業種に特定最低賃金があるかどうかは、千葉労働局の最低賃金一覧で確認できます。まず「自社の業種に特定の定めがないか」を確かめ、対象なら地域別と特定の高い方を基準にするのが安全です。なお、特定最低賃金は地域別とは発効時期がずれ(例年、地域別より遅れて改定されます)、適用される労働者の範囲も地域別と少し異なる点に注意が要ります。
判断軸:何から手をつけるか
「うちも当てはまるかも」と感じたら、次の軸で今の体制を点検してみてください。
| 確認ポイント | 見るもの | 気づくこと |
|---|---|---|
| 対象者の洗い出し | 時給・日給・月給の全従業員 | 現時点で1,195円を下回る設定がないか |
| 特定最低賃金の有無 | 自社の業種が特定最低賃金の対象か | 対象業種(千葉県は鉄鋼業など)なら地域別1,195円と特定の高い方で確認する |
| 除外賃金の確認 | 最低賃金の比較に使う賃金の範囲 | 通勤手当・家族手当・臨時の賃金を誤って含めていないか |
| 発効日の確認先 | 千葉労働局の公示情報 | 発効日は2026年10月1日で確定済み。千葉労働局の発表で確認できる |
| 勤務地の確認 | 従業員が所属する事業場の所在地(派遣労働者は派遣先の事業場) | 他県の事業所勤務者に千葉県の額を誤適用していないか |
| 給与ソフトの設定タイミング | システムの反映日設定 | 10月1日以降の労働分から新額に切り替わる設定になっているか |
この6点を一度洗い出しておけば、10月分以降の給与計算で慌てずに済みます。
過去の最低賃金の議論の経緯や、他県との比較を見ておきたい方は【2026年度】最低賃金はいくら?47都道府県の一覧と発効日、対応の具体的な準備項目は2026年最低賃金 発効日前後の実務6つでも整理しています。
まとめ:賃金表を洗い直す
- 千葉県の最低賃金は、2026年9月1日に改正決定が官報公示され、2026年10月1日から時間額1,195円で発効した(前年度1,140円から55円増、引上げ率4.82%)。9月30日までの労働には1,140円、10月1日以降の労働には1,195円が適用される。手続きは、答申の要旨の公示→公示日から15日間の異議申出→決定→決定事項の公示、の順で進む(最低賃金法11条)
- 効力発生は、決定事項の公示(最低賃金法14条1項)の日から起算して30日を経過した日から(最低賃金法14条2項)。決定で別に発効の日を定めればその日から。今年は2026年9月1日に千葉労働局が正式発表した
- 業種によっては地域別より高い「特定最低賃金」があり、千葉県では鉄鋼業が2025年度時点で1,210円。地域別と特定の両方が適用される従業員は高い方で確認する
- よくある失敗は、正社員の月給を時間額に直すときの所定労働時間の誤り、支給月での切り替え、除外賃金の合算、勤務地違いの見落とし
- 判断軸は、対象者の洗い出し・特定最低賃金の有無・除外賃金の確認・発効日の確認先・勤務地の確認・給与ソフトの設定タイミングの6点
- 地域別最低賃金を下回ると、最低賃金法4条1項・40条により50万円以下の罰金の対象になる
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