給与計算と社会保険、社長自身が回している会社へ
従業員10〜30人くらいで、人事担当を置く余裕がなく、社長自身が給与計算や社会保険の手続きをやっている会社。
現場の合間、営業の合間、決算の合間に、毎月の給与計算とにらみ合っている社長。
心当たりのある方に向けて、この記事を書いています。
私も顧問先を回っていて、このパターンに本当によく出会います。

結論:片手間で回っているのは、たまたま事故が起きていないだけ
先に結論を言います。社長が片手間で給与計算をやっている状態は、今うまくいっているように見えても、実力で回っているとは限りません。
単に、まだミスが表面化していないだけのケースが多いんですよね。
給与計算は毎月ある業務なのに、社長の本業は経営判断や現場の対応です。優先順位をつければ、給与計算は後回しになりやすい。
後回しにされた事務は、締切間際の駆け込み処理になります。駆け込み処理は、ミスが起きやすい条件そのものです。
社長が片手間でやっている会社に共通する5つの失敗
顧問先を見ていて、実際によく出会う失敗を挙げます。
- 料率の更新漏れ:雇用保険料率や社会保険料率は年度ごとに見直されますが、去年の設定のまま計算を続けてしまう
- 控除項目の根拠があいまい:なぜこの金額を控除しているのか、社長自身も説明できなくなっている
- 届出の期限に追われる:入退社の手続き、算定基礎届など、期限のある届出をぎりぎりで出す、または出し忘れる
- チェックする人がいない:計算した本人しか確認できないため、単純な入力ミスにも気づけない
- 法改正のキャッチアップが後手:本業をやりながら制度改正の情報を追うのは、現実的に難しい
こうした失敗は、社長の能力の問題ではありません。本業と事務作業を同じ人が抱える構造そのものに、無理があるんですよね。
給与計算・社会保険の事務は、実は「期限との勝負」
給与計算や社会保険の手続きを軽く見てしまう理由の一つに、「期限のある業務」だという認識の薄さがあると思っています。
健康保険法施行規則・厚生年金保険法施行規則では、従業員の入社・退社にともなう資格取得届・資格喪失届は、原則5日以内に提出するとされています。
毎年の算定基礎届は、7月1日から7月10日までの提出期間です。この期間を過ぎると、標準報酬月額の決定が遅れ、給与計算全体に影響します。
労働基準法109条では、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿などの記録を保存するよう義務づけています。本則の保存期間は5年ですが、同法附則143条による経過措置で、当分の間は3年とされています。
「給与明細の控除がおかしい」と言われたときの確認手順でも書きましたが、控除の根拠が説明できない状態は、社員との信頼関係にも直結します。期限管理と根拠の説明、この二つが片手間の事務で最初に崩れやすいポイントです。
内製を続けるか、外に出すか。判断軸はここ
「うちも片手間かもしれない」と感じたら、次の軸で今の体制を点検してみてください。
| 確認ポイント | 見るもの | 気づくこと |
|---|---|---|
| 時間の使い方 | 社長が給与計算に使っている月間の時間 | 本業に使うべき時間を事務作業が奪っていないか |
| 料率・法改正の反映 | 直近の料率変更を計算に反映できているか | 更新漏れがないか、いつ確認したか |
| 期限管理 | 資格取得・喪失届、算定基礎届などの提出状況 | ぎりぎりの提出が続いていないか |
| ダブルチェック | 計算結果を確認する仕組みの有無 | 社長ひとりの判断で処理が完結していないか |
| 記録の保存 | 賃金台帳・労働者名簿の保存状態 | 保存期間を意識して管理できているか |
すべて内製のままで整えようとすると、結局その仕組みを作る時間も社長自身に乗ってきます。
一部の業務だけでも外部に切り出すか、全体をクラウド化するか。給与計算アウトソーシングとは?費用相場と選び方を解説にも書きましたが、「全部」か「ゼロ」かの二択ではありません。
オマカセロウムくんなら、社長の片手間業務をまるごと引き受けられます
私たちの「オマカセロウムくん」は、給与計算・社会保険の手続き・就業規則・労務相談までを、外付けの人事部としてまとめて引き受けるサービスです。
社長が本業の合間にやっていた事務を、丸ごと外に出せます。給与データや入退社の情報を私たちに渡していただければ、期限管理と料率の反映は私たちの側で行います。
ただし、外に出すだけで安心とは考えていません。勤怠データや承認のタイミングを速やかに共有できなければ、外部委託でも手続きは遅れます。「渡す仕組み」まで一緒に整えるのが、私たちの役割です。
全部を外に出すのはまだ早いと感じる方には、freee人事労務のようなクラウドサービスに乗せることもおすすめしています。料率の自動更新や計算ミスの防止という点で、Excelの手計算より安全です。freee人事労務があれば社労士いらない?社労士事務所が考えてみたでも書きましたが、クラウド化と外部委託は両立できます。
まとめ:片手間の事務は、いつか必ず表に出てくる
- 社長が片手間で給与計算・社会保険をやっている状態は、実力で回っているのではなく、まだ事故が起きていないだけの場合が多い
- よくある失敗は、料率の更新漏れ・控除根拠のあいまいさ・期限管理の甘さ・チェック体制の不在・法改正対応の遅れ
- 資格取得・喪失届は原則5日以内、算定基礎届は7月1日〜7月10日、賃金台帳等の保存は労働基準法109条(原則5年、附則143条の経過措置で当分の間3年)
- 時間の使い方・料率反映・期限管理・ダブルチェック・記録保存の5点で、今の体制を点検する
- 内製を続けるならクラウド化、負荷を減らすなら一部業務の外部委託。どちらも、情報を速やかに渡せる体制づくりが前提になる
社長自身の時間を、給与計算に使うべきか、本業に使うべきか。一度、数字で確認してみてもらえたらと思います。
業種・従業員数・今の給与計算や社会保険手続きの回し方、困りごとを教えてもらえれば、合いそうな進め方を一緒に考えます。無理な営業はしませんので、気軽にどうぞ。LINEで相談するなら手軽にその場でやり取りできますし、LINEを使わない方はお問い合わせフォームからでも構いません。
