信頼関係とは何か|職場で重要な理由と築くための5つの要素

仕事術

最近、職場で信頼関係を築くことの重要性を、あらためて感じる機会がありました。

社員と信頼関係を築けていないことで起きる問題は、職場に数多くあります。
上司と部下、先輩と後輩の関係を考えると、指示・指導・アドバイス・依頼事項など、業務上のやりとりが日常的に発生します。
ですが、それはきちんと相手に伝わっているでしょうか。

人に何かを伝えるのは簡単ですが、それがそのまま相手に伝わるかどうかは別の問題です。
話が分かりやすいか、具体的かという観点もありますが、本質的な問題はそもそも受け取る側が、こちらの意図を汲み取ろうとしてくれているか。そもそも受け取る気になっているのかということだと思います。

信頼関係の無い相手や、よく知らない人からいきなりアドバイスをされたら、それが正しい内容でも、私たちはイラッとしたり、不審に思ったりするはずです。
信頼関係が無ければ、伝えたいことの50%、あるいは30%しか伝わっていないかもしれません。場合によっては「あの人はちょっと苦手だ」というマイナスの感情しか生まないこともあります。

つまり、人と関わるうえで双方に信頼関係があるということは、すべての土台であると認識したほうがよいと思います。

信頼関係とは何か

さて、信頼関係とは何なのか、あらためて考えてみます。

一般的には、信頼関係とは「互いに相手を信じ、頼りにできると感じている状態」を指します。一言でいえば「安心して付き合える関係」です。
相手が自分に不利益をもたらさない、困ったときに助けてくれる。そう感じられるからこそ、人は本音を話したり、頼み事をしたりできます。

職場や組織における信頼関係も、基本的な意味は同じです。もう少し具体的にすると、次のような状態を指します。

  • 上司の指示や評価に、部下が裏の意図を疑わずに向き合える
  • 部下からの報告・相談を、上司が疑わずに受け止められる
  • 困ったときに、立場を気にせず本音を言い合える
  • ミスや失敗を隠さず、早めに共有できる

これらが成立している状態が、職場における信頼関係です。一見すると個人同士の関係性の話に見えますが、実際には離職率や生産性にも直結する、経営課題のひとつだと捉えています。

目次

  1. 信頼関係とは何か
  2. なぜ職場で信頼関係が重要なのか
  3. 信頼関係を築く5つの要素
  4. 信頼関係が崩れる原因
  5. 信頼関係を築く具体的な方法
  6. 経営者・人事担当が意識したいこと
  7. まとめ

なぜ職場で信頼関係が重要なのか

信頼関係が職場に与える影響は幅広いですが、特に次の4つの観点から重要だと考えています。

離職・定着への影響

上司や同僚との信頼関係が築けていないと、社員は「ここにいても分かってもらえない」と感じやすくなり、早期の離職につながることがあります。
中小企業では、採用や教育にかけたコストを考えると、一人の離職の影響は決して小さくありません。信頼関係は、定着率に直結する要素です。

心理的安全性への影響

信頼関係があるからこそ、社員は失敗を報告したり、分からないことを質問したりできます。
信頼関係の無い職場では、失敗を隠す、分からないことを聞けないという状態が生まれやすく、後になって大きなトラブルに発展することもあります。

業務効率への影響

信頼関係が築けていれば、指示や説明を最小限にしても業務が回ります。
逆に信頼関係が無いと、指示の意図を疑われたり、確認や念押しが増えたりして、余計なやりとりが発生します。信頼関係には、コミュニケーションコストを下げる効果もあります。

コミュニケーションの質への影響

信頼関係がある相手には、本音や課題を話しやすくなります。逆に信頼関係が無い相手には、当たり障りのない報告しかしてもらえません。
経営者や管理職が現場の本当の状況を把握できるかどうかは、信頼関係の有無にかかっていると考えます。

信頼関係を築く5つの要素

信頼関係の中身をもう少し分解すると、次の5つの要素に整理できます。

①信用できる

嘘をつかない、約束を守るなど、人として最低限の信用を得られる行動を心がけましょう。人は、気づかないうちに小さな嘘を重ねてしまうことがあります。言ったことと行動を一致させる「言行一致」を目指しましょう。
約束を忘れたり、嘘でごまかしたりすると、信用は簡単に損なわれます。信用できない人は、自分にマイナスをもたらすのではと警戒されてしまいます。

②危害を加えない、好意を持ってくれている

敵意が無いこと、もっと言えば好意的な感情があると分かれば、人は安心します。簡単な方法は「否定しない」「感謝する」ことです。
些細なことでもお礼を伝えて感謝する。相手の都合を顧みず、一方的に要求しない。こうした積み重ねが重要になります。
また、笑顔や姿勢、声のトーンも大事です。敵意はない、好意を持っているということを、態度で表現していきましょう。

③多くの部分で自分と近い思考で理解できる

「何を考えているか分からない人」は、警戒され、拒絶されがちです。重要なのは自分の思考を伝えること、つまり理由や根拠を伝えることです。
なぜそう思うのか、なぜそう判断したのか。理由を聞いて理解できれば、人は安心します。まったく理解されない状態が続くと、距離を置かれてしまいます。

④自分にプラスの影響を与えてくれる

人には、自分に何かしらのプラスを提供してくれる人と付き合いたいという本質があります。実際にプラスを生むかどうかよりも、その気持ちや姿勢があるかを、相手はよく見ています。
相手にプラスを与えようとする気持ちが無いと、疎まれてしまいます。「相手が何を目指しているか」を理解しようとする姿勢が大切です。

⑤相手の存在や努力を認め、承認する

自分の存在を認めてくれない人を、信用することはできません。最も簡単な承認は、挨拶をすること、そして挨拶を返すことです。
承認の反対は「当たり前」だと思うことです。当たり前と思わず、感謝の気持ちを持って人と接する必要があります。
趣味や仕事など、相手が努力していることを認めるのも大事です。相談するという行為も、頼りにしていることが伝わる、立派な承認になります。

そして最も重要なのは、①~⑤を継続することです。1日サボっただけでも、取り戻すのに3日、あるいは1週間、もしくは1年以上かかることもあります。
たった一つの大きな嘘が、すべてを壊すこともあります。継続することこそが、信頼関係を維持するうえで最も重要なのです。

信頼関係が崩れる原因

信頼関係は、日々の積み重ねで築かれる一方、崩れるときは一瞬です。代表的な原因を挙げます。

  • 約束を守らない、言ったことと行動が違う
  • 部下からの相談や意見に、まともに取り合わない
  • 感謝や労いの言葉が無く、成果を「当たり前」として扱う
  • 一貫性が無く、その場の感情で評価や指示が変わる
  • 本人に直接伝えず、別の人に悪口や不満を話している

特に、経営者や管理職が「言っていることとやっていることが違う」状態は、信頼関係を壊す大きな要因です。社員は、発言よりも行動を見ています。

信頼関係を築く具体的な方法

ここまでの内容を踏まえ、職場で信頼関係を築くための具体策を整理します。

  • 挨拶と返事を徹底する。特に管理職から先に行う
  • 感謝を言葉にする。「ありがとう」を伝える機会を意図的につくる
  • 約束や締め切りを守る。守れない場合は早めに伝える
  • 率直に話す。悪い報告ほど早く、隠さずに伝える・受け止める
  • 相手の話を最後まで聞く。途中で否定したり、話を遮ったりしない
  • 小さな相談ごとを持ちかける。「頼りにしている」というメッセージになる

どれも特別なことではありませんが、特別ではないからこそ、続けられるかどうかで差が出ます。信頼関係は、大きな施策よりも、日々の小さな行動の積み重ねで築かれるものです。

我々は、技術や知識の提供、アドバイスをすることを生業としています。
時には相手をいさめること、ダメなことはダメと伝えないといけない場面もあります。社内で苦言を呈しないといけない場面もあるでしょう。
そんなときに信頼関係が無ければ、相手に聞き入れてもらえず、クレームや退職に発展する可能性もあります。

経営者・人事担当が意識したいこと

人事専任の担当者がいない中小企業では、信頼関係づくりが個々の管理職の人間性に任され、属人化しやすいという課題があります。経営者として意識したいポイントは、次の3つです。

  1. 信頼関係を「気合や人柄の問題」で終わらせず、評価制度や1on1などの仕組みに組み込む
  2. 管理職自身が、部下との信頼関係を築けているかを、定期的に振り返る機会をつくる
  3. 離職やトラブルが起きたときは、個人の問題として片付けず、職場の信頼関係の状態を点検する

信頼関係は目に見えにくいものですが、離職率や生産性、社内の雰囲気には確実に表れます。仕組みとして意識することで、特定の管理職の力量に頼らない職場をつくることができます。

まとめ

信頼関係とは、互いに安心して付き合える関係のことです。信用できる、敵意が無い、思考を理解できる、プラスの影響を与える、存在や努力を認める。この5つの要素を、日々の小さな行動で積み重ねることで築かれます。

職場における信頼関係は、離職防止や心理的安全性、業務効率、コミュニケーションの質など、経営に直結する要素です。
日々積み重ねた努力は、必ず信頼につながります。技術や知識の提供、時には苦言を呈することを生業にしている立場だからこそ、その土台となる信頼関係を、一つ一つの行動から大切にしていきたいと考えています。

職場の信頼関係づくりや管理職研修について相談したい方は、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

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