業務改善助成金とは?令和8年度の金額と条件を解説

仕事術

業務改善助成金とは?賃上げと設備投資をセットで支援する制度

最低賃金の引き上げが話題になると、「うちも人件費が増える」という不安と同時に、「使える助成金はないのか」というご相談を必ずいただきます。その代表格が業務改善助成金です。

業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が事業場内で最も低い賃金を一定額以上引き上げ、かつ生産性向上につながる設備投資等を行った場合に、その費用の一部を助成する制度です。厚生労働省の管轄で、賃上げの原資を直接補うわけではなく、「賃上げ+設備投資(や研修・コンサル費用)」をセットで行うことが条件になります。

「最低賃金が上がって人件費が増えるなら、その負担を軽くする投資に助成金を使う」という発想の制度だと理解しておくとわかりやすいです。


令和8年度のコース区分と助成率

令和8年度(2026年度)の業務改善助成金は、50円コース・70円コース・90円コースの3コースに分かれています。「事業場内で最も低い賃金を、いくら引き上げるか」でコースが決まる仕組みです。

以前は30円・45円・60円・90円という区分でしたが、令和8年度からこの3コースに再編されています。古い情報のまま「30円コース」で調べてしまうと制度が変わっている点にご注意ください。

助成率は、引き上げ前の事業場内最低賃金によって変わります。

引き上げ前の事業場内最低賃金助成率
1,050円未満4/5
1,050円以上3/4

もともとの賃金水準が低い事業場ほど、助成率が高くなる設計です。


助成上限額はいくら?引き上げ人数別の一覧表

助成金額は、「設備投資費用 × 助成率」と「引き上げ人数・コースごとの上限額」を比べて、低い方が実際の支給額になります。上限額は次のとおりです(通常規模の事業場の場合)。

引き上げ人数50円コース70円コース90円コース
1人30万円40万円90万円
2〜3人40万円50万円150万円
4〜5人70万円130万円270万円
6〜7人90万円180万円360万円
8人以上110万円230万円450万円

さらに、事業場内最低賃金が1,050円未満、または直近6か月の売上高総利益率・営業利益率が前年同期比で3ポイント以上下がっている「特例事業者」に該当する場合は、10人以上を引き上げる区分(上限額は最大600万円)まで申請できます。

つまり「うちは何人まで対象になるのか」「特例に当たるのか」は、事業場ごとに条件が変わる部分です。この記事の数字を目安にしつつ、正式な判定は労働局または社労士にご確認いただくのが安全です。

自社の対応漏れを含めて一度に確認したい方は、最低賃金対応全体を5テーマ・13項目に整理した「2026年 賃上げ対応チェックリスト」もご活用ください。→ PDFチェックリストを受け取る


「最大600万円」の内訳を正しく理解する

業務改善助成金を調べると「最大600万円」という数字によく出会いますが、これには2つの異なる意味があるので、混同しないようにしてください。

  1. 単一の事業場での上限額:特例事業者が90円コースで10人以上を引き上げた場合の上限額(上の表の延長)
  2. 事業主単位の年間上限額:同一の事業主が複数の事業場で申請する場合、事業主単位で申請額の年間上限が600万円

複数店舗・複数事業場を持つ企業では、この②の年間上限に注意が必要です。1事業場ごとに600万円ずつ取れるわけではありません。


対象になる経費・ならない経費

対象経費は、機械設備の導入だけではありません。公式に定められている経費区分は次のとおりです。

  • 機械装置等購入費(POSレジシステム、特殊用途車両等)
  • 経営コンサルティング経費(業務フロー見直し等の専門家費用)
  • 委託費(システム化・外部委託にかかる費用)
  • 研修費用(外部講師による従業員研修、導入機器の操作研修の謝金・旅費、資料・マニュアル作成費用)
  • 広告宣伝費、印刷製本費、借損料 など

注意したいのは、「人材育成費用なら何でも対象」ではないという点です。対象になるのは、機器の操作研修や業務フロー改善に直結する研修・資料作成費用などで、公式の経費区分に当てはめて判断する必要があります。また、自動車は原則対象外で、対象になるのは業務に必要な特殊用途車両などに限られます。


申請の注意点:令和8年度は「事前申請のみ」

もっとも重要な注意点がここです。令和8年度は、賃金の引き上げを実施した後の事後申請ができません。設備投資等も、交付決定を受ける前に実施してしまうと対象外になります。

つまり流れは、

  1. 事業計画を立てる(引き上げ額・対象人数・設備投資の内容を決める)
  2. 申請する
  3. 交付決定を受ける
  4. 決定後に設備投資・賃金引き上げを実施する
  5. 実績報告をする

の順番でなければならず、「先に賃上げしてから、あとで申請しよう」という順番では使えません。

申請受付期間は、令和8年9月1日から、事業場のある都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日、または令和8年11月30日のいずれか早い日までです。最低賃金の答申・決定は例年7月末から8月・9月にかけて出るため、答申を見てから準備を始めると、この期間に間に合わないおそれがあります。

事業計画は、答申前の段階から「引き上げ額を仮置きして」動き始めるのが現実的です。


まとめ|制度は複雑でも、使える企業は多い

業務改善助成金は、コース区分・助成率・上限額・特例事業者の条件など、制度としてはやや複雑です。しかし、最低賃金の引き上げに合わせて設備投資やシステム化を予定している中小企業であれば、活用できる可能性は十分にあります。

  • コースは50円・70円・90円の3区分
  • 助成率は事業場内最低賃金1,050円未満で4/5、1,050円以上で3/4
  • 上限額は引き上げ人数・コースで決まり、特例事業者は最大600万円まで
  • 令和8年度は事前申請のみ。賃上げ後の申請は不可
  • 申請受付は令和8年9月1日〜

「自社がどのコース・上限額に当たるのか」「特例事業者の要件を満たすか」は、賃金台帳や損益の状況を見ながら個別に判断する必要があります。オマカセロウムくんでは、賃金引き上げの試算から助成金の要件確認、申請書類の作成まで一体でサポートしています。まずは無料相談で、自社が対象になるかどうかから確認してみてください。

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