「AIって便利そうだけど、結局どう使えばいいの?」
経営者の方と話していると、よくこの質問をいただきます。ChatGPTが出てきてから「なんかすごいらしい」という空気はあるのに、自分の仕事にどうハマるのかがピンとこない。その感覚は、お話を伺っていてとてもよくわかります。
私たちの社労士事務所では、日常業務のかなりの部分をAIと一緒に回している状態になりました。最初から計画的に進めたわけではなく、「これ、AIに任せられないか」と試行錯誤を重ねた結果です。
この記事では、社労士事務所として実際にAIをどう使っているかを、そのままお見せします。「すごい」を伝えたいのではなく、「こういう使い方もあるのか」と気づいていただけるように、業務の現場目線で書きました。自社の業務改善を考える中小企業の経営者にとっても、同じことを自分の事務所でやってみたい同業の社労士の先生にとっても、そのまま使えるヒントになると考えます。
社労士事務所のAI活用 実例7選
① 就業規則・規程類の作成
社労士業務の中核である就業規則の作成は、AIとの相性が非常に良い領域です。
取り組み内容
- クライアントの要望と会社の状況をAIに整理させる
- 法令に準拠した就業規則のドラフトを自動生成
- 自社のテンプレート書式に合わせてWord形式で出力
変わったこと
以前は就業規則を1本仕上げるのに、ひな形を引っ張ってきて、条文を書き換えて、体裁を整えて……と半日以上かかっていました。今はドラフトが数分で出るため、所内メンバーの時間は「内容の精査」と「クライアントへの説明」に集中できます。
最終チェックは必ず人間が行います。AIが出したものをそのまま納品することはありません。ただし「ゼロから書く時間がなくなった」インパクトは大きいと考えます。
② ルールブック・概要説明書への変換
就業規則は法律用語が多く、従業員にとっては読みにくいものです。そのため、「ルールブック」「概要説明書」をセットで作るケースが増えています。
取り組み内容
- 完成した就業規則をAIに読み込ませる
- 「従業員が読んでわかる言葉に直して」と指示
- 堅い条文が、やさしい日本語の説明資料に変換される
たとえば「年次有給休暇は、労働基準法第39条の定めるところにより……」が、「入社して半年たったら、有給が10日もらえます。使うときは○日前までに申請してください」になります。
この一手間で従業員の理解度は大きく変わります。就業規則を改定するたびに説明書も短時間で更新できる点も、運用上の利点です。「規則は作ったが誰も読まない」問題は、相当の部分が解消されると考えます。
③ 勤怠チェックの自動化
毎月の給与計算前に行う勤怠チェック。地味ですがミスの許されない作業です。
取り組み内容
- シフト表と打刻データをAIに突き合わせる
- 打刻漏れ、残業時間の計算ミス、変形労働時間制の過不足を自動検出
- 検出結果を重要度別に報告
変わったこと
人の目だけのチェックでは、どうしても見落としが出ます。変形労働時間制やフレックスタイムが絡むほど、計算は複雑になります。AIで全件チェックを行い、異常値だけを人が確認する流れに変えたところ、精度が上がり、所要時間も減りました。
大量データを漏れなく確認する作業は、AIが最も得意とする領域の一つです。
④ 法改正チェック
社労士業務において、法改正のキャッチアップは生命線です。ここもAIを組み込んでいます。
取り組み内容
- AIに最新の法改正情報を調査・要約させる
- 改正前後の対比表を自動作成
- 「この改正で顧問先に影響が出るか」「何をすべきか」を整理
法改正は毎年何かしら出ますので、全てを自分で追いかけるのは現実的ではありません。AIに「情報を集めて整理する」役割を任せ、人間は「顧客にどう影響するかの判断」に集中する。判断は人間、調査と整理はAIという役割分担が機能しています。
⑤ 議事録の自動作成
クライアント面談や所内ミーティングの議事録は、残しておきたいけれど作成が後回しになりがちです。
取り組み内容
- オンライン会議の音声を自動で文字起こし
- AIが文字起こしから決定事項・担当者・期限を抽出
- フォーマットに沿った議事録を自動生成
会議が終わった時点で議事録のドラフトが出来上がっている、というのが最大の利点です。「あの会議で何を決めたか」を後から探す時間がなくなります。
さらに「この議事録の内容をもとに提案書を作って」とAIに続けて指示できます。会議 → 議事録 → 次のアクション が一気通貫で回るようになりました。
⑥ 助成金申請書の作成補助
助成金の申請書類は、様式が固定で記載項目が多い。これもAIとの協業で効率化しています。
取り組み内容
- クライアントの情報と助成金の要件をAIに整理させる
- 申請書の各項目に対する記載案を自動生成
- 必要な添付書類のチェックリストも自動出力
ゼロから書く作業がなくなり、「書く」から「確認・修正する」に仕事の中身が変わりました。
特に人材開発支援助成金のように記載項目が多い書類では、下書きの有無で工数が大きく変わります。
⑦ 研修資料の作成
弊社では企業向けにAI活用研修も提供しています。その研修資料そのものもAIで作成しています。
取り組み内容
- 研修のテーマ・対象者・時間をAIに伝える
- 「問いかけ → 体感 → 理解」の流れで構成を自動提案
- スライドの下書きまでAIが作成
高校教員向けのAI活用研修を全6回で実施していますが、毎回テーマが違うため資料作成の負荷は大きい。AIに構成と下書きを任せることで、講師側は「伝え方」や「ワーク設計」に集中できるようになりました。
AIを取り入れて、一番変わったこと
7つの実例を並べると「ずいぶん使っているな」と自分でも思いますが、一番大きい変化は「時間の使い方が変わったこと」だと考えます。
- 文書をゼロから書く時間 → クライアントと話す時間へ
- データを手作業でチェックする時間 → 制度設計を考える時間へ
- 調べものに費やす時間 → 判断と提案の時間へ
つまり「作業」が減って「仕事」が増えた、という感覚です。
AIは仕事を奪うのではなく、仕事の中身を変えるものだと、現場で日々実感しています。面倒な作業を引き受けてくれるからこそ、本来やるべきこと、つまりお客様の課題を解決することに、もっと集中できる構造になります。
ここから先は、この記事を読んでくださっている方によって、おすすめの一歩が変わります。「自社の業務にAIを取り入れたい経営者の方」と、「自分の社労士事務所でも同じようにAIを使いたい同業の先生」とでは、入口が違うからです。それぞれに分けてご案内します。
【経営者の方へ】自社にAIを取り入れる3つの入口
ここまで読んで「自社でも使えそうだ」と感じた経営者の方もいらっしゃると思います。
ただ、「明日からChatGPTを……」と始めても、最初はうまくいかない場合が多いです。私たちも試行錯誤の連続でした。重要なのは、自社の業務に合った使い方を見つけること。そこを伴走するためのサービスを、3つのレイヤーでご用意しています。
入口①:無料のAI勉強会(毎月開催)
「まず何ができるのか触ってみたい」という方向けに、無料のオンラインAI勉強会を毎月開いています。
- 毎月第2木曜日 12:00〜13:00(Zoom)
- 参加費無料、出入り自由
- 「AIって何ができるの?」レベルの方も歓迎
お昼休みに気軽にご参加いただけます。開催案内はLINEオープンチャット「労務ニュース_AI勉強会」で配信していますので、まずはそちらにご登録いただくだけでも構いません。
入口②:経営者の伴走支援|AI顧問
「AIに興味はあるが、一人では何から手をつけたらいいかわからない」という経営者向けに、AI顧問サービスをご提供しています。
- 月2回のオンライン面談で、経営者の「これAIでできないか」にその場で回答
- 聞くだけで終わらず、面談中に実際の業務資料や仕組みを一緒に作成
- 社内文書の自動化、営業資料のたたき台作成など、具体的な業務に落とし込む
いわば「その場で作るAI相談室」です。DX担当者がいない中小企業でも、伴走しますのでご安心ください。
入口③:社員にもAIを使わせたい企業向け|AIリスキリング研修
AI顧問で実感された経営者から「社員にも使えるようにしてほしい」というご要望をよくいただきます。そうした企業向けにAIリスキリング研修をご提供しています。
「ChatGPTを触ったことはある」「でも業務で使えるレベルではない」という社員を、6回でAIを業務に組み込める状態にすることがゴールです。
研修プログラムの概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 形式 | 全6回/各2時間(計12時間)/オンライン(Zoom) |
| 対象 | 中小企業の経営者・管理職・実務担当者 |
| 受講人数 | 3名から実施可能 |
| 受講料(通常) | 385,000円/1名(税込) |
| 助成金が満額支給された場合の試算額 | 84,250円/1名(経費助成△288,750円+賃金助成△12,000円) |
| 受講者満足度 | 9.0/10点(n=59、2025年6月〜2026年4月実施分) |
| 累計受講者 | 100名以上 |
この研修の独自軸:「3大AIを使い分ける」
ChatGPT・Claude・Geminiを比較しながら学ぶ研修は他にあまりありません。「どのAIを、どの場面で使うか」の判断力が身につくのが本研修の最大の特徴です。
研修カリキュラム(全6回・各2時間)
| 回 | テーマ | 学ぶツール | 実践内容 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | AIと出会う | Claude(ChatGPT比較) | 業務メール・社内説明文をClaudeで作る |
| 第2回 | 3大AIを使い分ける | Claude × ChatGPT × Gemini | 同じ指示を3つに投げて違いを言語化 |
| 第3回 | スライド3種を作り分ける | Gamma / Gemini Canvas / Claude Design / Nano Banana | 同じテーマを3ツールで作り、用途別の使い分け感覚を掴む |
| 第4回 | NotebookLMで自分専用AIを作る | NotebookLM | 就業規則・マニュアルを読ませて即答できる仕組みを作る |
| 第5回 | NotionとGASで仕事を自動化 | Notion / Notion AI / GAS | Notion×GASで通知・リマインドを自動化 |
| 第6回 | AIエージェントに任せる | Antigravity / ChatGPT Agent | 議事録から会議資料を自動生成 |
NotebookLM・Antigravity・Nano Banana など、2026年5月時点の最新ツールを取り入れた現役のカリキュラムです。
助成金(人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 通常価格 | 1人 385,000円(税込) |
| 経費助成 | △ 288,750円 |
| 賃金助成 | △ 12,000円(1,000円×12時間) |
| 実質負担額 | 1人 84,250円 |
※上記は助成金が満額支給された場合の試算額です。支給を保証するものではありません。訓練計画届の事前提出、訓練時間中の有給扱い、支給申請、令和8年5月14日以降は「受講料等の価格設定に関する疎明書」など、複数の要件確認が必要となります。
※当社では助成金申請の代行は行っておりませんが、ご希望の場合は提携の社会保険労務士事務所をご紹介いたします(活用実績豊富な事務所をご案内可能)。
研修の詳細資料・お見積もりは無料でお出ししますので、お気軽にお問い合わせください。
【同業の社労士の先生へ】「自分の事務所でもやりたい」と思ったら
ここまでの7つの実例を読んで、同業の社労士の先生は「うちの事務所でも、これをやりたい」と感じられたかもしれません。就業規則の作成、勤怠チェック、助成金、法改正対応——どれも先生方の日常業務そのものです。
私たちがこれらを回しているのは、ChatGPTのようなチャット型AIだけではありません。中心にあるのは、業務そのものを「任せる」ためのAIエージェント(Claude Code)です。規程作成も、勤怠の異常検知も、助成金や法改正のリサーチも、このAIエージェントを自社の社労士業務で毎日動かしています。
「同じことを、自分の事務所でもできるようにしたい」という先生に、入口を2つご用意しています。
まず実物を見たい先生へ|無料・個別オンラインデモ
「百聞は一見にしかず。まず実際の画面を見てから考えたい」という先生には、社労士向けの無料・個別オンラインデモ(マンツーマン・約60分/Zoom)をご用意しています。
- 私たちが運用中のAIエージェント活用を、その場で実演
- 「これは自分の事務所のどの業務に効くか」を一緒に整理
- 売り込みではなく、まず使いどころを掴んでいただく場です
自分で使えるようになりたい先生へ|AIエージェント入門講座(全6回)
「実演を見るだけでなく、自分の手で動かせるようになりたい」という先生には、AIエージェント入門講座(全6回・各2時間)があります。AIを「使う」段階から、業務を「任せる」段階へ進むための講座です。
- AIエージェント(Claude Code)に特化。私たちが実務で動かしている実装を、そのまま教材に
- 大量ファイルの分析、書類作成の自動化、外部サービス連携、HP/LP制作まで段階的に習得
- ご自身の事務所の業務ファイルで演習するので、講座が終わった翌日からそのまま使えます
- 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の対象。要件を満たせば実質負担を抑えられます
どちらが合うか迷われる場合は、まず個別オンラインデモからどうぞ。先生の事務所の状況を伺ったうえで、講座が向いているかも含めてご相談に乗ります。
まとめ|行動が先、完璧は後
AI活用の本質は、「まずやってみる」に尽きると考えます。完璧な仕組みを最初から作る必要はありません。まず動いて、修正する。
私たちが日常的に伝えている 「行動が先、完璧は後」 の精神で、まず小さな一歩を。経営者の方は無料のAI勉強会から、同業の社労士の先生は無料の個別オンラインデモから、それぞれ気軽に始めていただけます。
社会保険労務士法人 労務ニュース/株式会社労務ニュース
代表取締役 倉田 諒
- HP:https://roumunews.jp/
- AI勉強会へのご参加:LINEオープンチャット「労務ニュース_AI勉強会」
