社労士事務所として日々多くのクライアントさんから相談をもらう中で、よく感じるのは「会議の質が、組織の質を決める」ということです。
会議体がないことで組織全体が停滞し、問題が解決されないまま放置されているような事例をよく見かけます。
逆に、会議が上手な会社は物事がスピーディーに決まり、社員が主体的に動いているような気がします。
よくある相談と現場での実例
1. 同じ課題がいつまでも解決されない
ある製造業の会社では、安全管理の不備や工程ミスが繰り返し発生していました。
会議で毎回議題に上がるのに、具体的なアクションプランが決まらないまま。議論は盛り上がっても「どうするか」が決まらないので、結局また同じ問題が再発する。
誰が何をいつやるかが決定していないと、問題は解決しません。
2. 課題感にズレが生じる
あるサービス業の会社では、経営陣と現場スタッフの間で、課題認識に大きなギャップがありました。
現場はすぐにでも改善すべきと焦っているのに、経営側は「まだ様子を見てもいいのでは?」という姿勢。お互いの視点がズレたままなので、改善策が具体化せず、放置されてしまいます。
「何が問題か」が共有できていないと、こんなことが起きがちです。
3. 誰がどこまで仕事をやっているのかが見えない
ある中小企業では、部署間の役割分担が曖昧で「誰がどこまで担当するのか」がハッキリしない状態でした。
どこに、誰に責任があるのかが明確でないと、問題が起きても「誰も何もしない」状態になります。
これが続くと「やらされ仕事」になり、社員が主体的に動かなくなってしまいます。
コミュニケーション問題
このような問題は、意見のズレや認識の違いから生じます。
会議という場は、誤認や責任転嫁が発生しやすい場所でもあるんですよね。しかも、社員が「自分で考えて動く」機会が少ないと、暗黙の了解に頼ってしまい、主体性が失われます。
会議で「どうする?」と聞かれても「誰かが決めるだろう」という雰囲気になる。
これが組織の成長を阻む大きな壁になっているのを、現場で何度も見てきました。
「どんな会議なのか」を明確にする
こうした問題を解決し、組織が前に進むためには、「会議の質」を高めることが重要です。
会議は単なる情報交換の場ではなく、誤認を解消し、意思決定を行い、具体的な次のアクションにつなげる場です。
ある程度は目的を明確にした会議を実施していくことが重要になります。
個人的には、以下の3つのカテゴリで会議を実施していくのが効果的だと感じています。
1. 次のアクションを決める会議
目的:
すぐにできる具体的なアクションを決めて承認を得ることで、問題解決と業務の前進を目指す会議。業務改善に向け、参加者一人一人に主体性をもって考えてもらうことが重要です。
要点:
・具体的なアクションを決める:会議で「次に誰が何をするか」を決めることで課題が放置されず、即座に動き出すことができます。
・責任の明確化:責任転嫁を防ぐため、担当者と期限を設定しましょう。責任転嫁を防止できます。
・決定権をもつ人の参加:会議の効率を上げ、アクションを確実に実行するためには、決定権をもつ人の参加が重要です(あとから決裁を取り直すことになると手間がかかります)。
注意点:
・事前に議題や背景、目標を整理し、共有する:感情的な議論や、会議中の迷走を防ぎます。
・具体的なアクションをリストアップする:「検討する」ではなく「XXさんがYYを来週までにやる」というレベルまで具体化し、あとで見返せるようにリストアップしましょう。
・意思決定のプロセスを文書に残す:会議終了時に「何を決めたか」「どのように決めたか」を全員で確認し、次にやることをハッキリさせましょう。
2. 課題を整理し、解決策を創出する会議
目的:
現状の課題を洗い出し、新たな解決策やアイデアを出し合う会議。参加者が「いかに自由に発言できるか」が重要です。
要点:
・現状把握と認識の統一:チーム全体で現状の課題を共有し、課題感のズレを解消して会議に臨みましょう。
・さまざまな視点のシェア: 自由にアイデアを出し合ってください。他の人の意見を聞くことで思い込みを排除でき、新しい解決策が浮かび上がるはずです。
注意点:
・どんなアイデアも否定せずに受け入れる:会議中は否定しない空気感を作り、自由に発言できるよう努めましょう。
・アイデアを整理し、実現可能なものを選別:アイデアは「出す場」と「選ぶ場」を分けることで、質の高いアイデアを残すことができます。
3. 進捗確認、報告系の会議
目的:
プロジェクトや業務の進捗状況を確認する会議。定期的に行い、情報を全員で共有することで、状況に応じた調整やサポートを行えるようにしましょう。
要点:
・「見える化」する: 進捗を「見える化」することで、問題が起きたときに迅速な対応ができるようになります。
・フィードバックを行う: アクションの結果をフィードバックして、次のアクションに反映させましょう。
注意点:
・進捗報告のフォーマットを統一:情報がバラバラだと共有の質が低下します。
・原因と対策を具体的に議論: 問題が発生したら「原因を特定→具体的な対策」の流れで議論しましょう。
会議の質を高めることで、組織全体が前に進める
会議で意思決定することで、組織全体の成長と活力を生み出します。
まずは「次のアクションを決めて進める会議」を今日から実践して、組織全体の前に進める力を強化していきましょう。
