はじめに
会社の従業員雇用人数が10名以上になったら、法律により就業規則の作成と労働基準監督署への届出が義務付けられています。
このタイミングで多くの経営者がまず目にするのが、厚生労働省がホームページで公開している就業規則のテンプレート、「モデル就業規則」です。
無料でダウンロード利用でき、法律で定められた基本的な労務ルールが網羅されているため、非常に便利です。
実際のところ、この厚生労働省の提供するモデル就業規則はかなり優秀で、内容や情報も最新の法令改正に対応していることが多く、「高いお金を払ってゼロから社労士に相談しなくても、理解できる人ならこれで十分じゃないか?」と思えるほどです。
しかし、この手軽さゆえに、内容をよく理解しないまま安易に導入してしまうケースが後を絶ちません。
便利な就業規則のモデルだからといってそのまま使うと、思わぬ落とし穴にはまり、「そんなつもりじゃなかったルール」で自社を縛ってしまう危険性があります。
本記事では、厚生労働省 モデル 就業規則のメリットと危険なポイントを整理し、自社に本当に合ったルールを整備するための具体的な方法、専門家である社労士に依頼するメリット、さらに労務ニュースが提供する独自のサポートについて解説します。
1. 就業規則とは?なぜ必要なのか
就業規則は、会社と従業員の間で働き方や労働条件を明文化した「職場のルールブック」です。
労働基準法が定める内容には、常時10人以上の労働者を使用する事業場において、必ず作成し、労働基準監督署へ届け出ることが義務付けられています。
もし未整備のまま従業員との間でトラブルが発生すると、会社の対応が場当たり的になり、労務リスクや法的リスクに直結します。「まだ人数が少ないから大丈夫」と考えている経営者ほど、トラブルが起きてからでは手遅れになる可能性があるため、早めの備えが重要です。
2. 厚生労働省モデル就業規則の特徴
厚生労働省は、中小企業でも作成しやすいように就業規則のテンプレートとして「モデル就業規則」をホームページにて公開しています。しかし、この就業規則 モデルを利用する際にはメリットとデメリットを正確に理解しておく必要があります。
モデル就業規則のメリット
- ・無料でダウンロードできる:コストをかけずに雛形を入手できます。
- ・法律で必要な基本要素を網羅している:記載必須項目が揃っており、大きな漏れを防げます。
- ・初めての会社でも参考にしやすい:基本的な構成や条文の書き方が分かりやすく示されています。
そのまま使うことの危険なポイント
便利なモデル就業規則ですが、「完成品」ではなく、安易な利用はトラブルの元です。
ではどのようなリスクがあるのでしょうか?
①内容を理解せずに作るリスク
一番危険なのは「何が書いてあるかよく分からないまま、社名だけ変えて作ってしまうこと」です。知らないうちに自社の実態に合わない、あるいは「そんなつもりではなかったルール」が規定されてしまい、後から従業員に有利な解釈をされてトラブルになったり、監督署から指導を受けたりする原因になります。
②休職・特別休暇規定は特に注意
国が作成した就業規則のモデルであるため、労働者保護の観点が強く、労働者に有利な内容になっている傾向があります。例えば、私傷病による休職期間が会社の規模や体力に見合わないほど長期間に設定されていたり、慶弔休暇などの特別休暇が手厚く規定されていたりします。これらを自社の実態に合わせて調整しないと、経営の負担が過度に重くなる可能性があります。
③会社の個別事情に対応していない
厚生労働省のモデル就業規則はあくまで一般的な働き方を想定したものです。そのため、会社ごとの独自のルールや従業員の構成、働き方の実態に合わない部分が出てきます。例えば、変則的な勤務体系や在宅勤務など、会社独自で定めている細かな運用ルールまではカバーしていません。
④編集のしづらさ
モデル就業規則は「本文(規定)」と「解説」が混在して書かれているため、そのまま編集しようとすると非常に手間がかかります。最近では、NotebookLMのようなAIに読み込ませて解説部分を自動で削除させる方法もありますが、それでも専門知識なしでのカスタマイズは困難が伴います。
3. 自作の就業規則で起こるトラブル例
安易に就業規則 テンプレートに頼り、厚生労働省のモデル就業規則を参考に自作した場合、以下のようなトラブルが発生しがちです。
- ・曖昧な規定が原因での残業代トラブルが発生
- ・育児休業や有給休暇の取り扱いが不明確で社員が不満を抱く
- ・会社の体力に合わない休職規定により、労務管理が困難になる
- ・労働基準監督署の調査で法改正への未対応や不備を指摘される
結果的に、作っただけで機能しない「あるだけ就業規則」となり、社員の信頼を損ない、定着率の低下につながってしまいます。
4. 就業規則に過剰な期待は禁物!「働き方ガイドライン」の重要性
そもそも、就業規則だけで職場のすべてのルールを網羅しようとすること自体に無理があります。就業規則はどの会社でも似た内容になりがちです。大切なのは、就業規則に「全部書き込もう」とするのではなく、そこに書ききれない細かな運用ルールをどう補うかです。
例えば、
- ・どこからが残業で、どこまでが準備時間なのか
- ・欠勤や遅刻をした際の具体的な連絡方法や手続き
- ・PCの取り扱いや情報セキュリティに関するルール
- ・「私たちの会社では、こういう価値観を大切にして働いてほしい」という文化的な前提
こうした細かなルールまで就業規則に盛り込むのは現実的ではありません。
そこでおすすめしたいのが、就業規則とは別に「会社ルールブック」や「働き方ガイドライン」を作成することです。
就業規則は法的な効力を持つ最低限の器として、「就業規則 厚生労働省」のウェブサイトにあるモデルなどを参考に整備し、日々の具体的な運用はガイドラインで全従業員と共通認識を作る方が、はるかに実用的です。そして、そのガイドラインを入社時のオンボーディングで丁寧に説明し、合意を得るプロセスが何よりも重要になります。「就業規則があるから安心」というのは誤解であり、それだけでは会社も社員も守れないのです。
5. 社労士に任せるメリット
法的な部分は専門家である社会保険労務士に依頼し、経営者はより重要な「働き方のルール作り」に集中するという選択肢は非常に有効です。
社労士に依頼すれば、以下のメリットがあります。
- ・法改正を反映した最新の規則が作れる
- ・会社の実態や従業員構成に合わせた最適なカスタマイズが可能
- ・労働基準監督署への届出もスムーズ代行
- ・社員への説明や運用に関するフォローも任せられる
「厚生労働省 モデル 就業規則という優れた就業規則 テンプレートをベースに、法的なリスクをクリアしつつ、自社用に最適化してほしい」というニーズに最も的確に応えられるのが社労士です。
6. 労務ニュースの強み:「オマカセロウムくん」
労務ニュースでは、就業規則の作成サポートに加えて、「オマカセロウムくん」という独自のフルアウトソーシングサービスを提供しています。
特徴① 従業員対応窓口を丸ごと代行
「給与明細が見られない」「交通費の計算方法は?」といった細かな質問も、LINEグループを通じて従業員から直接対応。第三者である社労士だからこそ従業員も質問しやすく、経営者は煩雑なやりとりから解放されます。
特徴② 勤怠管理・給与計算も一括サポート
打刻忘れや残業集計などの面倒な勤怠管理から、給与計算、社会保険・雇用保険手続きまで丸ごと対応。「バックオフィス担当者を置かない会社」を実現します。
特徴③ 信頼関係と定着率の向上
「約束を守る労務管理」を徹底することで社員の安心感を高め、モチベーション維持や優秀な人材の定着につなげます。
まとめ
- ・就業規則は10名以上の会社に必須の法的ルールです。
- ・厚生労働省のモデル就業規則は、あくまで就業規則のテンプレートとして参考にするべきであり、「モデル 就業規則」をそのまま使うのは危険です。
- ・就業規則だけでなく、運用のための「働き方ガイドライン」を別に作るのが効果的です。
- ・社労士に任せることで、自社に合った法的に有効な規則をスムーズに整備できます。
- ・労務ニュースの「オマカセロウムくん」なら、就業規則だけでなく、従業員対応・勤怠・給与までワンストップで解決できます。
経営者の皆さまが本業に集中できる環境をつくるために、ぜひ一度、労務のプロへご相談ください。
