退職理由のトップは人間関係である
退職理由のトップは、やっぱり人間関係です。職場の人間関係にストレスを抱えている人はたくさんいます。
これは「嫌な人がいるから会社に行きたくない」という話に集約されると思います。具体的には、こんなケースです。
- ・言い方がキツくて高圧的
- ・指示が雑で、何が言いたいのかわからない
- ・教えてもらいたくても、否定から入る
- ・無駄に感情的だったり、威圧的だったりする
こういうコミュニケーションのズレは、地味にメンタルを削ります。結果「今日もあの人と仕事か…」という朝の憂鬱につながり、パフォーマンスはどんどん落ちていきます。トラブルの原因にもなりかねません。
心理的安全性がないと、創造性なんて発揮できない
人が本来の力を発揮するには、安心できる環境が前提です。
職場でビクビクしながら働いているようじゃ、創造的なアイディアは生まれませんし、仕事もただの作業になります。逆に、心理的安全性が高ければ「こんな提案してみようかな」「間違えても大丈夫かな」と前向きな行動が増えるはずです。
職場にもルールが必要
スポーツにルールがあるように、職場にも最低限の人間関係のルールが必要です。
特に職場では、価値観も年齢も違う人が同じ空間で長時間を過ごします。だからこそ「どうすればお互いが快適に働けるか」を明文化しておきましょう。
人間関係を壊さないための10箇条
以下に「職場で避けるべき10の行動」をまとめました。これは人間関係を壊さないための基本的なガイドラインです。
①業務に関係ないことで贔屓する・好き嫌いで判断する・人によって態度を変える
業務に関係のないことや、ちょっとした態度や見た目、性格などで贔屓したり、好き嫌いを判断したりするのは絶対に良くないです。会社は仕事をする場所ですから、業務以外のことは判断基準になり得ません。
また、上司や先輩にはペコペコして、部下や後輩には横柄な態度をとるなど、人によって態度を変えるのは考えものです。見ていて気持ちのいいものでもありません。
役職や入社年次に関係なく、他者を尊重し、一人の人間として誠実な対応をとる必要があります。
ただし「仕事ができるので好き」「業務上の功績が高いので贔屓する」はまったく問題ありません。人事評価自体が、仕事ができて会社への貢献度が高い人へのえこひいきのようなものです。
②感情的になる・怒鳴る・高圧的な態度をとる
人を説得したいとき、納得させたいときには、伝える側が工夫しなければなりません。たとえば、論理性を高める、プレゼンテーションスキルを高めるなどが挙げられます。
感情的に話したり、大きな声で怒鳴ったりすると、相手に「この人とはコミュニケーションがとれない」と感じさせてしまいます。
感情的になることで相手を不快にさせてしまい、問題解決がさらに困難になることを自覚しましょう。また、高圧的な態度からポジティブな方向に進むことは何もありません。
組織として上司、部下、先輩、後輩が役割として存在しますが、結局は同じ人間同士、我々は対等な存在です。
誰かを従わせたい、意見を取り入れて欲しい。そういった際に、人はつい高圧的な態度になってしまいます。
しかし、高圧的な態度は、反論しづらい・話づらい空気を生み出します。対等の人間であるという原則をもって、相手に敬意を持って接しましょう。
③嫌味を言う、けなす
問題がある際は、根拠を明確にしてはっきりと指摘すべきです。嫌味を言っても、本人が前向きに捉えることは絶対にないので、問題の解決に近づくことはありません。
また、根拠がないのであれば、気に入らないからといって否定すべきではありません。
問題が発生している人に対して直接言うのが難しい場合は、上位の職務をもつ人に伝えて、問題点を指摘してもらえるよう相談しましょう。
④他人の悪口や陰口を言う
前項とも重複しますが、問題がある際は根拠を明確に、かつ本人に指摘すべきです。陰口、悪口を言っても解決しません。
また、他人の悪口を聞くと「私もどこかで悪く言われているかも」といった不安につながりやすく、知らず知らずのうちに組織を萎縮させます。社員の心理的安全性を保つためにも、陰口、悪口は避けましょう。
単純に、悪口を言うのは良いことではありません。しかし、業務上の問題点などを本人がいない場で話し合うことは大事です。
もちろん当該行為は、問題解決に向けた前向きな行為として実施する場合に限ります。誤解のないようお願いします。
⑤意見を聞かない・合理的な理由がないのに聞き入れない
一人で仕事をするわけではありません。上司、部下の立場に関わらず、意見を聞くことは重要です。
意見を聞かない、途中で遮る、否定するなどの行為は、人間性を否定する行為に近く、信頼関係を大きく損ないます。
ただし、意見を聞いたからといって、すべての意見を聞き入れたり、採用するというわけではありません。
組織にメリットの無い意見を採用する必要はなく、反対に、組織としてプラスが大きいような素晴らしい意見は、立場に関わらず聞き入れ、取り入れるべきです。
同時に、組織の一員として、上長からの指示は業務命令として対応する義務も発生します。
意見を主張しすぎて「上長が決定するという組織のルール」に反してしまうと、組織の正常な運営が難しくなります。その点は誤認しないよう注意してください。
⑥厳しく叱責する
クレームやミスの発生は、組織として許されることではありません。
しかし、そこで厳しく叱責してもプラスの要素は少ないと思います。
大事なのは発生原因を探る、再発防止につながる仕組みを作るなどの対応です。
激しい言葉で叱責する、怒鳴る、長時間にわたって詰めるなどは解決策にならないので避けましょう。
もちろんミスやクレームの原因を作った場合は、反省し、再発防止のために努力する必要があります。
再発防止策を練るために、前向きに議論し、議論が長時間化してしまうこと。また、本人に再発防止策を考えてもらうために、長時間の議論が必要な場合もあるかもしれません。
上記のような、解決に進むための前向きな対応は大事にしていきましょう。
➆人に仕事を押し付ける
組織として、それぞれ担当業務があります。または上長から業務を割り振られます。
与えられた業務は本人の職責で全うすべきであり、他の人員に押し付けることはあってはなりません。
また、人の業務を代替することを上長以外の人が押し付けたり、義務にしたりすることもやめましょう。
ただし、優先すべきは通常通りの業務運営と、提供すべきサービスのクオリティを確保することです。
急な休みには、どうしても仕事のカバーなどが発生してしまうと思いますが、協力して通常業務を維持しましょう。
また、時期的に忙しくて一人だけ忙しくなってしまった、などという場面も想定できます。
このような場合、急場をしのぐために協力関係をもつことは重要です。
しかし、それでは根本的な解決になりません。上長、管理者という立場の人は、このような問題を社員の善意に頼って放置するのではなく、仕組みを変更して対応できるように努力すべきです。
⑧挨拶やお礼、謝罪など基本的なコミュニケーションをおろそかにする
出退勤時は、気持ちよく挨拶する。
手伝ってもらったり、教えてもらったりしたときは、お礼を言う。
迷惑をかけたり、間違ったりしたときは謝罪する。
社会人として歴が長くなればなるほど、そういった基本的なコミュニケーションがおろそかになりがちです。
このような最低限のコミュニケーションルールさえ守れないと、良好な人間関係は築けません。
人は忙しくなると、こういった基本的なことを忘れがちです。定期的に意識するとともに、上司部下関係なく、当該項目に問題があった際は指摘できるようにしましょう。
⑨自分の考えがないまま話す、矛盾したことを言う
自分自身の考えに基づかないで行動すると、その場の意見に流されたり、場当たり的な対処になったりするケースが多くあります。
結果、矛盾したことを指示するなどして、信頼性を失ってしまいます。
なぜ、どうして、何の理由で、何を優先すべきか、などを自分の頭で考えて、答えを出すことの重要性を理解してください。
ただし、人の意見は変わります。立場が変わったり、見識が増えたり、そうやって考え方が変わることに何ら不思議なことはありません。中には新しく気が付いたことが、今までの考えと矛盾する場合もあるかもしれません。
そういった際には、考え方が変わったことや、その根拠を提示して説明しましょう。より良い結果を出すために、前向きな理由で考えが変わることは何も問題ありません。
⑩思い込みで判断する、根拠を提示しないまま伝える
社内のコミュニケーションには、説明、説得などの局面がたくさんあります。その際に、根拠なく思い込みで判断した主張をする、または、根拠を提示せずに主張する、などの行動は、納得感や共感を得ることを難しくさせてしまいます。
一人一人の人間が集まって働いているので、お互いの考えを話し合って、納得した上で業務を進めることがとても大事です。
そのためには、しっかりと考えの根拠を集めて、提示して、最大限の納得を引き出すように努力しましょう。
しかし、議論の参加者が増えれば、最終的に全員が納得できない場合もあると思います。
そのような場合は、上長やリーダーの決定に委ねる必要があるというのも、組織の側面の一つです。
しっかりと根拠を提示して、合意の最大値を取得できるように努めましょう。
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