変化の速い時代になってきています。昨日の正解が今日には通用しないこともあります。
そんな時代に必要なのは「こうしたい」という意志をもって動けるかどうか。最終的にはそれが「強い組織になるかどうか」を決めるんじゃないかと思います。
この記事では「意思」を出発点に、どうやって社員自らが動く組織をつくっていくのか、その考え方と実際のアプローチを整理していきます。
最大の推進力は「意志の力」
どんなに優れた技術も、知識も、それを使って何かを実現しようとする意志がなければ動きません。
今はAIも進化して「できないこと」は減っています。
逆にいえば、今できていないことの多くは「やろうとしてないだけ」もしくは「まだやっていないだけ」です。
「変えたい」「やってみたい」「このままじゃ嫌だ」
そういう感情は、人を動かす立派な燃料です。個人の欲求や違和感を起点にエンジンをかけたほうが、はるかに自然で強い動きになります。
悩む時間があったら、とりあえず動く
完璧な準備ができてから動こうと思っても、永遠にスタートできません。
環境はどんどん変わるので、完璧な計画なんてものは常に崩れます。ならば「動きながら修正する」しか方法はありません。
「新サービスが出た?じゃあ再検討しよう」
「失敗した?なら学んでやり直そう」
そうやって少しずつ前に進めばいいのです。立ち止まっている時間が一番もったいないのです。
仮に失敗しても、前向きな失敗は大いに価値があります。
人は失敗から学びます。でも自分でやろうと思ったことじゃないと、自分の失敗を自覚できません。
とにかく自分の意志でやること。それなら成功したときよりも、失敗から学ぶことのほうが多いのです。
感情や欲求を起点に、設計図を描く
「面倒くさい」「もっと評価されたい」「ラクしたい」
こういう感情を大事にしましょう。
感情や欲求をネガティブに捉える人もいますが、むしろ変化のきっかけにすべきです。
たとえば、毎月の経費精算が面倒なら、それはプロセス改善のヒントになります。
勉強の時間がないなら、業務のどこかを効率化すべきというサインです。
やりたくないことが明確になったときこそ「じゃあどうすれば避けられるか?」という発想が生まれます。
そんな感情を意志に変えるために必要なのが設計図です。
「自分の領域」で設計図を描けるか
「この仕事、どうすればもっと良くなる?」
「そもそも、これってやる意味ある?」
こんな問いを、自分の仕事の中で自然に立てられるかどうかが、すべての出発点になります。
でも、誰かがその設計図を描いてくれることは稀でしょう。というかほぼありません。
自分の仕事に最も詳しいのは、自分です。
だからこそ、自分自身の力でしか改善を進めることはできません。
誰かが設計図を用意してくれるのを待つのではなく、自分で考えて、自分の領域から設計していく。
もちろん、全部自分でやる必要はありません。
わからないところは外部の専門家に頼っていいし、新しいシステムを導入してもいい。
大事なのは、自分の担当範囲は自分で設計することです。その上でいろいろな人の力を借りましょう。
組織全体が「原生林」のように機能する
トップの一人がすべてを背負う組織は、結局どこかで止まります。
トップが詰まったら、全体が止まるからです。
私自身も何年かやってみましたが、自分で全部考えるなんて無理だという結論に達しました。
できたら「みんなが自分の意志で動く状態」が理想です。
全員が小さなエンジンになる感じがいいなと。
たとえ出力は小さくても台数が多ければ、とんでもない推進力になります。
私の理想像は「原生林」です。
誰かが全体を整備しているわけではないけど、それぞれが勝手に成長し、全体として強靭で豊かになっていく。
花壇のように整ってはいないけれど、生命力にあふれ、多少の混乱にはビクともしない。そんな組織です。
モシャモシャと生え散らかせばいいんです。
「やってみたい」に投資する文化をつくる
「やってみたい」「これを改善したい」には、投資する価値があるかもしれません。
新しいスキルでも、ツールの導入でも、ちゃんと意味があると思えるなら、躊躇なく声を上げていきましょう。
ただし、これは「やりたいことを自由にやってOK」ではありません。
大前提として持っていて欲しいのは「投資と回収」の感覚です。
1万円の学びに10万円の価値を生み出せるか。
あるいはツール導入に5時間かけて、毎月10時間浮くようになるか。
そういう視点で考えて欲しいのです。
やりたいことを長期的に続けていくには、それが成果を生む必要があります。成果は目的じゃないけど、手段としては必須です。
明日から何をするか
事業が拡大していくと、誰か一人が全部把握して全部決める、というのはどう考えても無理が出てきます。だからこそ、ひとりひとりが「自分の持ち場は自分で設計する」必要があるのです。
自分の領域でエンジンになることが、これからの組織の前提です。
そのために明日から実践して欲しいことを5つに絞ってまとめました。
1. 意志をもって動く
「これは変えたい」「これは自分の価値観に合わない」そう思ったら、まずはそれを見て見ぬふりをしないこと。心が動く瞬間を、行動のトリガーにしてください。
2. まずやってみる
綿密な計画より、小さな一歩のほうが何倍も価値があります。やってみないと見えないものがほとんどです。考えつつ、まずは動いてみましょう。
3. 感情をヒントにする
「面倒くさい」「もっと評価されたい」など、ネガティブに思える感情も、すべて改善のヒントです。愚痴で終わらせず、根本から変えていきましょう。
4. 自分の業務を設計する
自分の仕事に一番詳しいのはあなたです。あなたの仕事をどうすればもっと良くなるかを考えて、設計図を描いてみてください。機械も技術も設計図がないと動けません。
5. 学ぶ・挑戦する・投資を回収する
会社は成長に投資すべきです。でも、それを「価値のある結果」に変えるのはあなたの役目です。やりたいことをやりたいだけで終わらせず「やってよかった」にしていきましょう。
こういった行動が、全体の強度を底上げします。
ひとりひとりがそれを実行できれば、組織は外部環境の変化にも負けないはずです。
