皆さんはAIを使うとき、どんなふうに依頼していますか?
AIはとんでもなく便利な道具ですが、その本質は「思考の拡張」にあります。
テクノロジーはいつも機能を拡張してきた
人類の進歩は、機能拡張の歴史です。
足で移動していたのが、自転車・車・電車・飛行機で距離もスピードも拡張されました。
手紙から電話・メール・チャットと、コミュニケーションの手段も拡張されてきました。
AIは脳、つまり思考の拡張です。
「一緒に考えてくれる」―—これがAIの大きな特徴だといえるでしょう。
モヤモヤのまま投げていい
文章を作るとき、私たちはまず頭の中で考えを整理し、それを言葉で表現しています。この「整理する」作業が一番大変です。
AIを使いたいとき、最初からきれいに指示する必要はありません。むしろ頭の中のモヤモヤをそのまま話してしまえばいいのです。
例:給与計算の注意点をまとめたい
「えーと、給与計算の今月の注意点をまとめたいんだけど、残業計算がちょっと複雑になってて…。Aさんは今月から入社だから社会保険料の扱いをどうするか確認しないといけないし、Bさんは今月から交通費が変わったからその反映を忘れないようにしないといけないし…。あとCさんは給料が上がって200,000円になったんだけど、昇給の扱いをどう説明するか考えないと…。とにかくこれを整理して、注意事項としてまとめたいんだけど…」
これもAIにそのまま渡せば、下記のように一覧できれいにまとめてくれます。
今月の給与計算 注意事項
1.全体的な注意点
残業計算:今月は残業時間が多めの社員がいるため、計算方法・割増率の確認を徹底する。
社会保険:新入社員の資格取得日・徴収開始月の確認が必要。
2.社員ごとの対応
・Aさん
今月入社。社員保険料の徴収有無を確認(資格取得日によって当月or翌月から発生)。
入社月の給与日割り計算が必要か確認。
・Bさん
交通費支給額が変更。新しい金額を反映させる。
・Cさん
基本給が200,000円に昇給。昇給反映後の給与額を確認。
昇給理由や時期について、本人への説明資料を準備(必要に応じて)。
情報は「正確に」より「たくさん投げる」
AIに依頼するコツは「正確に指示すること」ではなく、雑でも「たくさん情報を与えること」です。
たとえば、こんな依頼の仕方ができます。
<例>
メールを読み込ませる:「このメールに返事をしたいんだけど、今から話す内容も踏まえて文章にまとめてほしい」
↓
就業規則や社内メモも読み込ませる:「この就業規則や社内メモの内容も踏まえて返信したい」
↓
調べた判例や法律情報も加える:「この情報も参考にして、さっき話した内容と合わせて、お客様にわかりやすく説明できる形にまとめて」
こうして素材をどんどん放り込んで「この情報を踏まえてまとめて」と伝えるだけで、AIが自動で整理してくれます。これまで人間の脳でしかできなかった「情報の取捨選択と整理」をAIが肩代わりしてくれるのです。
音声入力を使えばもっと楽になる
しかし「雑でもたくさんの情報を入力する」といっても、入力作業はなかなか大変です。
そこでおすすめしたいのが、音声入力です。
考えたことをそのまま口でAIに伝えてみてください。
「えーと、こういう質問が来てて、まあ要するにこんなことを伝えたいんだけど…」
このくらいラフな話し方で大丈夫。AIはそれを受け取って、きちんとした文章に整えてくれます。
- Windowsなら「Windowsキー+H」で音声入力が可能
- ChatGPTやGeminiにも音声入力ボタンがあります
- もっと精度を求めるなら「Aqua Voice」というアプリを入れるのもおすすめ
会社で契約して導入しても良いレベルで便利です。
思考を拡張して業務を軽くする
給与計算の注意点まとめ、お客様への回答文、社内への周知文書…。こうした「考えて整理する作業」をAIと一緒に進めることで、圧倒的に業務は楽になります。AIを単なる「代筆ツール」としてではなく、一緒に考えるパートナーとして使ってみてください。きっと仕事の進め方が大きく変わりますよ。
